投稿日:2018年09月09日

事務局通信116〜4年目の夏

朝ホワイトボードを見ると、幅5センチ長さ1メートルくらいの養生用テープが貼り付けてありました。よく見ると「Aバカ死ね」とマジックで殴り書きしてあります。
はがして捨てると「勝手にはがさないで下さい」とスタッフのAが血相を変えて来ました。
Aの作業場に、これが貼り付けてあったとのこと。実はメンバーのBさんがやったことで、その後も同じようなことが何回も繰り返されました。

生身の人間ですから「なんでこんなことされんといかんのや」と腹が立つのは当然です。しばらくすると何事もなかったかのようにニコニコと話しかけてくるBさんに、怒りを隠せない様子でした。
当事者としては理由を問いただしたくなるところですが、解決に結びつかない(というより、そもそも「解決」というものが存在しない)のが難しいところです。遠回りのようですが、長いスパンで考えながらBさんの心象風景に思いを巡らしていくくらいしか方法はありません。

Bさんは通所を始めた当初、情動が高まり自分をコントロールできなくなることが日常的にありました。作業どころの話ではなく、一日無事に過ごすことすら困難な毎日、自分の本当に思っていることがなかなか言葉にできず、叫ぶことでしか表現できませんでした。
そのBさんも4回目の夏を迎えました。梅雨明けから猛暑日が続き、近年まれにみる「酷暑」と言われましたが、情動が高まりブレーキがきかなくなる、ということがほとんどありませんでした。
「この夏は本当に暑かったけど、よう乗り切ったなぁ」と声をかけると、少し照れ臭そうに笑うBさんがいました。

社会が年々防衛的になり「ああいう人は病院に放り込んでおけばよい」という風潮が高まる中で、Bさんのような存在はますます生きにくくなってきています。
Bさんがこれから順調に階段を上っていく保証はありません。あるのは可能性だけです。そこをよすがにどこまで共に歩いていけるのか、そこが問われているのだと思います。


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