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経済サロン原稿 杉浦良
「NBもいいけどLBも」

 NBと言われて、恥ずかしながら意味不明であった。ナショナルブランドの略と分って納得したが、トヨタやパナソニックといった製造業から、ミスタードーナツ、ケンタッキーフライドチキン、マクドナルドなどの外食産業まで幅は広い。
 その飲食3社の店舗が、この4年間で徳島中心商店街から姿を消すこととなった。商店街の方々の落胆ぶりを思わずにはいられないが、橋の通行料が安くなって増えた県外来訪者からは、NB以外のお店が喜ばれる。
 以前に「安くて美味しい徳島ならではのお店は」と尋ねられて、情けない話だが“フリーズ”してしまった。そこで先日、大阪や滋賀からの来訪者と一緒に、徳島市の中洲市場を案内しながら魚と野菜を仕入れ、手巻き寿司とそば米汁を作ることにした。
 徳島で取れたニンジン、ダイコン、ネギ、イチゴ、米、海苔、魚などや、県内製造のちくわ、豆腐、コンニャクやそば米など、地産地消の食材を、見て手にとって買って作って味わう体験プランだ。保険料百円で乗れるひょうたん島クルージングやケンチョピアの話も話題に入れながら、料理もなかなか手際よく作られ、清酒「芳水」と芋焼酎「鳴門金時」で乾杯となった。
 神山温泉で肌がツルツルになったと大喜びの面々は、初めて食べるそば米汁に舌鼓を打ち、手巻き寿司の海苔の大きさと、刺身の新鮮さに驚き、買った値段の安さを話のネタにしながら、大いに盛り上がった。
 これをもっと進化させれば、スタディーツアーや体験型ツーリズムとして十分通用するのではないか。来訪者十一人のえびす顔を眺めながら、徳島にあるものを、そのままきちんと感じてもらえる「仕掛け」があればと思う。
 全国ネットで宣伝される、どこでも同じNBもいいが、コテコテの徳島ならではのLB(ローカルブランド)の時代が、地方分権の「風」とともに訪れる予感がする。そのためにも四国の橋の通行料は安いほうがいい。(杉)

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