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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.39 タイトル「自立観」

 「子供だけでなく大人も自立出来てへん人が多くなったなあ・・」などといわれて久しいですが、ここで言う「自立」は、広辞苑にある、他の援助や支配を受けず自分の力で身を立てることです。
 「障害者自立支援法」にある「自立」とは「・・障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な障害福祉サービス等が総合的に提供されるよう、自立支援給付を創設する・・」と書かれていることから、どうも最初の「自立」とはフィットしていません。
 他からの援助や支配を受けず自分の力で身を立てるための障害福祉サービスとは一体どんなものでしょうか?トレーニングやリハビリで最初の「自立」が全て達成されるならば、さまざまな障害を抱えたメンバーたちの苦悩も全て解消されることになります。
 障害者フォローが国としてなされていなかった昔、障害者フォローを国が細かく決め措置した数年前、そして障害者フォローは利用者が選んで契約する現在、障害者の自立を支援するためのフォローを利用者が契約するという明日があります。
 牧口一二さん(松葉杖で得た人生を千七百の小中高校で語ってきた、グラフィックデザイナー)は「『人に迷惑を掛けてはいけません』という大人の常識が『人の力を借りてはいけません』と子供たちには伝わっているようだ。両手両足が動かせない人はフォローしてくれる介護者を集め、自由度を高めようとすればするほど多くの人の力を借りることになり、新しい自立観の創出につながる」と語ります。つまり健常者の自立観は自立していけばいくほど支える人がいなくなり、一人で生きることになるが、障害者の自立観はいろんな人達を巻き込んで関係を広げ、深めることで成り立つ側面を持っているということになります。
 「自立」を「自律」に置き換えて「自分で自分の行為を規制すること。外部からの制御から脱して、自身の立てた規範に従って行動すること。」と広辞苑に書かれた意味を当てはめると、どういうわけかしっくりきます。「障害者自律支援法」であって欲しいものです。


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