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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.52 「再考家電リサイクル法」 二〇〇六年八月二十九日分

 家電リサイクル法が施行されて五年がたちました。二〇〇一年四月の制定時に、五年後の見直しが約束されており、今年の六月二十七日から環境省と経済産業省の合同改正審議会が始まりました。リサイクル料金の前払い制と指定品目の拡大が見直しの大きなポイントになりそうです。
 家電リサイクル法はご存知の通り洗濯機、ブラウン管テレビ、エアコン、冷蔵庫(冷凍庫)の四品目について、廃棄する方がリサイクル料金と指定取引所までの運搬料金を負担するというものです。大量生産大量消費社会のしっぺ返しに対する初代攻略法として登場しましたが、後発のパソコンや自動車リサイクル法と違って、料金の後払い制が大きな問題でした。
 産業界は将来のリサイクルコストの査定が困難な点や、メーカーが倒産した場合の処理など前払い制の問題点を挙げますが、それはパソコンも自動車も同じです。洗濯機二千四百円テレビ二千七百円、エアコン三千五百円冷蔵庫(冷凍庫)四千六百円のリサイクル料金(消費税含まず)と引取所までの運搬料金は、一ドア小型冷蔵庫を例に取れば購入価格の半分近くになります。小型ブラウン管式テレビではリサイクル料金が必要なのに、大型液晶テレビは必要ありません。こんな矛盾を見つけると、夜中にこっそり河川敷や空き地に捨てて帰る心ない人も出てきます。後払い制のためその処分には土地の管理者、所有者が費用を負担しなければなりません。三位一体改革のためそれでなくとも苦しい地方自治体に処理費用がのしかかります。空き地の所有者は不法投棄の腹立たしさと、処理するためのお金まで支払う憂き目を味わうことになります。
 「こっそり隣の空き地に移動させれば」と、悪魔のささやきについ心が動く方の気持ちも分からないではありません。
 電器屋さんに頼まずに自分で処分すると、別の煩雑さが見えてきます。まず郵便局にある指定用紙に住所氏名電話番号とメーカー名、品名を記入し、メーカーによって料金が異なる場合があるので確認して支払います。領収印のある領収書を指定用紙に張り付け、一枚を残して廃棄する品物に張り付けます。メーカーにより二グループに分かれた指定取引所まで運び、ようやく完了です。
 まだ充分に使える冷蔵庫やテレビ、洗濯機、エアコンがこうしてリサイクルルートに乗って、解体され資源リサイクルされます。「使える物はもう一度使ってあげるのが環境に優しい」とリユース(再使用)を推進する私や環境省の足を引っ張る、今の家電リサイクル法です。(杉)


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