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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.53 「巨大リサイクルプラント」 二〇〇六年九月十三日分

 神戸市資源リサイクルセンターを見学する機会がありました。一九九五年一月一七日に起きた阪神淡路大震災の片りんすら表面上は見られない、久しぶりに見る近代都市神戸のエネルギーに圧倒されました。
 リサイクルセンター手前のプラザ棟に入ると、ごみの山の写真がありました。震災で発生した大量のごみをどう処理するかという問題が、救命や消火活動や避難所対策の後の大きな課題となった事を物語っています。
 「徳島県は上勝町などごみの分別などにおいては先進地であり、その点、神戸は遅れておりまして・・。」と担当者の前置きがあるほど、上勝町が全国ネットになったことを少々うれしく思いながら説明を受けました。
 政令指定都市では大阪、静岡、そして神戸市のみが無料で家庭ごみを回収しており(H18年2月現在)、現在、市民の手により六分別(①缶、ビン、ペットボトル、②大型家具、自転車、③粗大ごみ、金属系ごみ、④カセットボンベ、スプレー缶、⑤燃えないごみ、⑥燃えるごみ。 ただし新聞・雑誌・段ボールなどは資源集団回収で全て対応しており、分別回収対象になっていない)された家庭ごみのうち缶、ビン、ペットボトルがここにパッカー車で集められ、コンクリートで固められた巨大なサイロに入れられます。それを大型クレーンで運搬し、機械でごみ袋の撤去が行われ、磁石でスチール缶が取り除かれ、ペットボトルとアルミ缶は渦電流を利用した反発力で分類し、ガラス瓶は光ビームセンサーを利用して透明、茶色、その他の三種類に分けるという、ほとんどがオートメーション化された巨大プラントでした。
 総工費約六十五億円をかけ二〇〇四年三月に完成した最新鋭の分別工場(処理能力九十トン/五時間)は、オペレーター十六人と、手作業で分別しなければならない部門を担当する知的障害者二十八人(別会社委託)で実質的には運転されるということです。プラザ棟ではごみ減量、環境教育設備が整い、NPO法人のナビゲーターまでいる優れものです。
 ただ撤去されたごみ袋だけで一日約五トンもあり、その排出量の膨大さがお分かりと思います。一人当たりの年間ごみ処理費は約二万一千円、百五十二万人が排出する大量の缶、ビン、ペットボトルのリサイクルプラントを目の前にして、もう少しこの全体量を減らせないものかと思わずうなってしまいました。(杉)


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