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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.66 タイトル「格差問題」

 統一地方選や参院選の大きなテーマに格差問題があります。都市と地方、資産を持つ人と持たざる人、正社員と非正規雇用社員、大企業と中小零細企業など、対峙して語られることが多い今日このごろです。
 現実は厳しく、ワーキングプアーと呼ばれる人々の現状を見れば見るほど、企業や資産を持つ人達の税金を増やして持たざる人への支援に回すといった考え方に傾きます。その逆に、職業選択の自由が保障されお金を稼ぎリッチになれる可能性と、失敗して破産する自由もある日本では、平等神話が強すぎると世界での競争に負けて、持たざる人々への支援に回すお金すらなくなるのでは、といった意見もあります。
 これらの考え方の根っ子に、人間社会に対する認識やとらえ方の違いを見ます。
 機会の平等だけでなく結果の平等をある程度保証しないと社会が不安定になり、全体としてのバランスが崩れて最終的には勝ち組に属する人たちも幸せに暮らせない、といった考え方と、機会の平等は保障しても結果についてはそれぞれの自己責任であり、それをゆがめる事は人間の競争心や向上心をなくして一人前の人間としてのプライドや尊厳をむしろ奪う、といった考え方です。
 両者ともそれなりの説得力を持つわけですが、私なりにさらに単純化すれば、ストレスがあり過ぎればバランスが崩れ精神が持たなくなってしまうし、全くストレスがなければ「お日さま西へ」状態で腑抜けになってしまう、ということでしょうか。
 いずれにしても、どちらか一方だけに偏ることでの弊害が大きいと思われます。ただ、振り子は真ん中で止まることはできないので、片方に大きく振れた時は、もう片方に振れるように方向修正をしなくてはいけないし、なるべく振れ幅が小さくなるようにあれこれ対策を立てる必要があるのでしょう。
 怖いのは、どうせ何をやっても一緒だから振れに任せておけといったニヒリズムと、右への振れ方や左への振れ方がベストだと信奉してしまうかたくなな姿勢の双方だろうと、アマノジャクの私は考えます。(杉)


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