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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.72 タイトル「つれづれなるままに」

 以前、作曲家の三枝成章さんが「小学校、中学校に通う児童、生徒一人当たりに月額八万円、年間約百万円の公的資金(税金)が使われている。それを児童、生徒一人一人にいったん戻し、塾に行くのもよし、今まで通り学校に行って担任の先生に払うのもよしといった形にしたら、教育も大きく変わるはず・・」といった話をされているのを聞きました。奇抜な発想で最初はびっくりしましたが、費用対効果といった視点や、教育にどのくらいのお金がかかるのかといた観点に、今まであまり注目されていない見方を示していただいたことが衝撃的でした。
 障害者団体の機関紙の中に「・・仮に私たちの施設を利用する重度障害のメンバーが、他の小規模作業所等を利用したときの公的資金が負担する費用の違いを試算してみました。現在二十人の認可授産施設を利用し支援費を受けると月額二十二万三千円、十九人の小規模通所授産施設を利用すると四万六千円、十九人の小規模作業所を利用すると三万二千円の補助金となります・・」と書かれた記事を三年ほど前に見つけました。全国の平均値を数字としてはじき出したもので、小規模作業所については、都道府県によりその差はもっとあります。利用する施設によってこれほどの違いがあることへの矛盾、その根拠のあいまいさが首をもたげます。
 今から三十二年程前、三万六千円と十八万円だった国立と私立大学の授業料の差は、現在は五十三万円と八十万円ほどになりました(平均値)。いずれにしてもこれらの数字の現実は、戦後六十年を過ぎて、敗戦、復興、経済成長、経済大国日本、バブル崩壊、赤字借金大国、そして借金からの脱出を模索する現在までの、別の角度からの指標とも思えます。
 時代の移り変わりについていけず、右往左往しているわけですが、こんなときはどうしたらいいか?もう一度頭を冷やしながら、原点に立ち返って、何が大切かを問うてみる・・。細かい整合性をあれこれ考えていると、肝心な本質が見えなくなってしまう・・。ブツブツ独り言をつぶやいているうちに、もうすぐ参議院選投票日です。(杉)


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