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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.79 タイトル「地域活動支援センター」

 障害を抱えたメンバーたちの通う養護学校の生徒が、実習生として、地域活動支援センターにやってきました。地域活動支援センターとは、今まで法の外に置かれ、公的支援が少ない障害者地域共同作業所(小規模作業所)が、平成十七年十月三十一日に成立した障害者自立支援法により、ステップアップするところとして用意されたものです。障害者の生産活動、交流、創造的活動を支援する目的で作られました。
 今までの障害者地域共同作業所とどこが違うのかといえば、NPO法人などの法人格を持たなければ、地域活動支援センターに移れないということです。
保護者、地域のまとめ役、有識者などで成り立つ運営委員会を作って運営される障害者地域共同作業所は、あくまで任意団体なので、その運営委員長や作業所所長が個人として、車の名義や賃貸契約、預金口座開設などを行うしかありませんでした。公的資金が少ないとはいえ、国民の税金が使われる以上、会計報告や事業報告はきちんとやるわけですが、法的に個人と団体の区別ができないという点で、クリアーさに欠けるといわれてきました。
 その点、地域活動支援センターは法人格を持たなければいけないため、法人名義ですべての契約が行える点はシャープです。
 障害者地域共同作業所(小規模作業所)への補助金は都道府県によって大きな格差がありました。一番高いのは東京都で年間千八百六十八万円、二番は滋賀県の千五百四十万円、一番低いのが山形県の二百十六万円(利用者十五人で試算、二〇〇五年八月「きょうされん」調べ)で、ちなみに徳島県は下から四番目です。
 この補助金におおむね年間百五十万円の国庫補助がつくのが、地域活動支援センターへのステップアップの大きな理由です。法定施設や教育領域でこれほど大きな格差はありません。東京都や滋賀県では予算規模の大きさから法人名義での契約は当たり前としても、予算規模の少ない山形県では事務処理にかかる大変さが重くのしかかります。ただ、予算規模が少なければ少ないほど、会計報告や事業報告をしっかり読むのを前提に、不正や公私混同の入る余地は少なくなるはずです。
 蜜の少ないところに蜂は寄ってきません。蜜を同じにして管理をきちんとするか、蜜が非常に少ないところには、事務処理の簡素化が必要と思われます。 (杉)


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