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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.82 タイトル「セルフスキャンレジ」

 フランスに、自分で品物の重さを計り、料金バーコードラベルを自分で貼り、自分でスキャンして、支払いは銀行カード、レシートはメールで送るという大型産直市があると、坂村建(東大教授)氏が新聞で取り上げていました。
 この大型産直市の裏には十五ヘクタールの農場があり、五~十㌫はここで収穫したものを使い、品ぞろえも豊富で、このシステムが使いにくいとやめる人は全体の一㌫、心配する不正な入力は〇、五㌫とありました。
 日本の小さな無人販売所ですら、百円玉がなくなるので取りやめるところも多いと聞いていただけに、思わず「ほんまかいな」とうなってしまいます。フランス人は特別道徳的に優れていると聞いたこともないだけに、それが成り立つ背景を知りたくなりました。
 セルフレジは日本でも導入し始めていますが、不正やミスを防ぐため厳重な防止装置が必要で、レジの人件費を減らせたとしても、設備投資は随分割高だと聞きました。その点この大型産直市は徹底した省力化と、中古のパソコンとカードリーダー、バーコードリーダーとタッチパネルを組み合わせた、完全自作の超低コスト品使用で、新鮮なうえ低価格で提供でき、黒字経営となっているそうです。
 思うに①ここまで徹底してお客さんを信じると、出来心が起きにくくなる②銀行カードやメールアドレスが把握されているので不正がばれやすい③不正な入力や、使い勝手が悪いとやめる方の割合をはじき出して、運営に支障をきたさないようであれば、誤差の範囲とし完璧を望むことでのコスト高を望まない④裏の農場を消費者がじかに見られることでこのように栽培された作物を直接ここで買える安心感がある⑤近代化と機械化された大型スーパーの硬いイメージでなく、手作りのどこかのびのびとした大地で育った食べ物を買える雰囲気がある、など、今の日本とは随分違う思考や感性が読み取れます。
 そしてこれを考えたのが、地元から世界にその勢力を拡大する大手スポーツ用品量販店チェーン創立者の御曹司というではありませんか。フランスのこの出来事にハッとさせられました。上勝の彩事業に続き、時代を読む先見性と逆転の発想を兼ね備えた事業を生み出す勇気を、この徳島に期待します。(杉)


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