2022年2月14日
太陽と緑の会
代表理事 杉浦良

代表のつぶやき―ネット環境から外れた存在―


 新型コロナの影響もあるでしょう「リモートワーク」と言う言葉が使われるようになりました。障害福祉エリアでは、2006年(平成18年)に制定された障害者自立支援法あたりから、インターネット環境の整備が頻繁に言われ「ペーパーレス」という言葉も多用されています。今まで郵送された書類がメール添付のデータに変わり「自分でプリントアウトして下さい」という形に変わりました。
 「・・そんなん言われても、公的資金が沢山入っている福祉施設とは一緒にせんといて・・と電話したら書類が送られてきたわ・・」
 ただ、それもいつまでも続くわけではありません。公的資金が圧倒的に少ない無認可作業所のスタッフはアタフタし、七十の手習いでパソコンと取り組む姿に、涙ぐましい努力と悲哀を感じさせてもらった記憶があります。パソコンが出来ることがステータスであり、パワーポイントを使いこなすことが輝いて見られた時代・・ただその中身はどうだったのか?と自問すると、とてもバラ色と喜んでおられる状況とは思えません。
 「・・なみだ銭しかくれへんのに・・パソコンを買え!プリンターを買え!インターネット接続を契約しろ!・・と言われても・・キーボードを打つのもままならんし・・何で今まで手書きでやってきたことがあかんの?・・パソコン教室もお金かかるし・・障害者福祉のことならまあまあ解るけど・・カタカナ横文字ばかりでちんぷんかんぷんや・・」そんなボヤキを、今まで沢山聞かせてもらいました。
 確かに、役所で、印刷した書類を封筒に入れて郵送する手間とコストは大変です。それを削減出来たら、手が回らないところにも、手が届くようになるでしょう。効率とコストを考えれば、導入する意味はあるでしょう。
 時は流れ、就労継続A型事業所や就労継続B型事業所、就労移行支援、生活支援といった、無認可作業所から移行した事業所では、パソコン、プリンター、インターネット環境等があるのが当たり前ですし、固定電話とFAXといった旧来型の設備は影を潜めている状況です。給付金申請にしてもネット環境が無ければ成り立ちませんし、メンバー達の日々の作業日誌等はパソコンでの入力が前提です。役所の監査時の必要書類はパソコンが無ければとても作れません。手書きだと修正するのに時間がかかるし、データの保存蓄積取り出しには、圧倒的にデジタル化が優れています。同じような内容だけれど少し変えてコピー&ペーストすれば、あっという間に書類が完成です。ただ中身はどうか?といったこととは別で、マニュアル通りの書類A、B、C、D、Eを整えればOKです。どうせ中身など判らないから形を整える・・といった考え方もあります。
 ただ・・お金の使い方は別として、メンバー達が好きな事を言ってワイワイガヤガヤしていて、部屋がピカピカに磨かれ整然としていない施設の方が、実は、メンバー達自身を本当に尊重しているところだ・・とする経験豊かな福祉専門家の体験談を聞いたことがあります。私も本当にその通りだと思います。「しっかりした報告書が無ければ、公的資金の使い道が分からないではないか?」といった問いには、前述の言葉の意味を提示したいのです。
 「何のための作業所なのか?」「何のための事業所なのか?」「何のための施設なのか?」「何のための福祉なのか?」・・そんな根本的な問いに対して、専門家と言われる人たちは答えられるだけの力量を備えているのだろうか?入り組んで細分化された福祉制度に翻弄されながら、私も含めて、問われている根本的な問いです。
 「もしもし・・今日はやっていますか?」「休みはいつですか?」そんな電話が毎日たくさんかかってきます。「・・はい・・活動しています・・えーと・・毎週水曜日と第2第4火曜日は休みで・・土日祭日はやっています・・」そんな対応を、メンバーのAさんとBさんがしています。
 「ホームページを見て下さい」などと答える隙はありません。「場所はどちらですか?」「バス亭はどこが近いですか?」といった電話も良くあります。「車やスマホのナビを見て下さい」とか「ホームページにマップを載せています」といった対応は届きません。「入口に休みの一覧表を置いています」とか「機関紙に書いてあります」といった対応もしています。
 徳島の、それも太陽と緑の会の関係エリアには、ネット環境から外れた方たちの存在が、色濃くあります。



>>トップページへ戻る
特定非営利活動法人(NPO法人)太陽と緑の会