「以前電動自転車の予約をお願いした者ですが、明日買いに行きたいと思いますので」
そのようなお電話を頂いたので、確認してみると、電動自転車の予約の受付がされていません。
お客様のお話を伺ってみると、先日、電動自転車が売場にあるかどうかの確認のお電話をされたとのこと。そのお電話で予約の受付も完了したことになっていたようです。電話担当メンバーのAさんの記憶は定かではなく、状況の見えにくいお話でしたが、お客様に確認してみると、まだ現物はご覧になっておられないとのことでした。
実は現物を見ずにお電話だけで予約、ということは原則としてお受けしないことにしています。やはり、リユース品は現物を見て頂かないと分からないことも多く、「思っていたのとちょっと違う」ということがよくあるからです。(メルカリやヤフオクなど、現物を見ない取引では、品物によっては、そういったことにまつわるトラブルもあるかもしれません)
電話で在庫があるのを確認したら、その場で押さえておきたい、せっかく買いに行ったのに「売れてしまいました」というのはちょっと…、というお気持ちもあるかとは存じますが…。
電動自転車のお客様は翌朝お越しになり、無事購入してお帰りになりました。
今から30年近くも前の話になりますが、トラックに乗ってメンバーさんと一緒に毎日朝から晩までお品物の回収にお伺いしていた頃のこと。ある回収先のお宅で、高齢の男性のお客様からこんなお話がありました。
「兄ちゃん、お宅の店で中古の掃除機ってあるで?」
「はい、いろいろあります」
「すまんけど、今度うちに引き取りに来るときに、何でもええけん、掃除機を持って来てくれへんで。使えるもんやったら、何でもええけん」
「リユース品で、いろいろなものがございますので、一度現物を見て頂いた方がよろしいかと思いますが」
「ワシは車の運転もできんし、お宅の店までよういかんのや。頼むけん、なんでもええけん、持ってきてくれへんで。あれこれ言わんけん、頼むわ…」
押し問答を繰り返しながら、ついに根負けした私は、次に回収でお伺いするときに、リユース品の掃除機を持って行くことにしました。
ところが、持参した掃除機をお見せすると…。その方は実際に電源を入れて使ってみてから、
「兄ちゃん、もうちょっと吸いが強いやつがええわ」
きちんと動作確認を行った上でお持ちしたのですが、お客様の望んでおられたものとは少々違っていたようです。
あのときは、己の詰めの甘さを反省し、よい社会勉強になりました。