徳島新聞「ぞめき」原稿 杉浦良
No.17 タイトル「家電リサイクル法」
今年4月で施行されて丸4年を迎える家電リサイクル法は、「悪法だ、悪法だ」と叫ばれながらも、いまだに生きながらえております。
何が悪法たるゆえんかと申しますと、後からできたパソコンや自動車リサイクル法が費用先払いなのに、後払いを貫いているからです。
最初は静観気味だった地方自治体も、不法投棄の多さと、厳しい財政事情の折に最後は公的資金で処理しなければならなくなる冷蔵庫、クーラー、テレビ、洗濯機に頭を痛め、国に対して是正の声を上げるようになりました。
家電リサイクル法の施行半年前に廃棄物処理法が改正され、不法投棄に対する罰則も、五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金が科せられるようになりました。処罰を重くすることで不法投棄が少なくなれば、長期にわたるリサイクル料金の管理コストや処理費の高騰などの問題にも悩まずに済む後払い方式の方が良いという訳です。またこのことが長く使う動機付けにもなり、家電製品は修理して再使用されるはずでした。
ただ一般市民の現実感覚としては、価格破壊の中で修理コストの高騰が目につくだけでなく、家電四品目を買ったら、リサイクル料金と集積場所までの運搬費を負担する「ババのカード」がもれなくついてくるのです。早いうちに「ババのカード」を誰かに渡すには、意地悪な言い方をすれば、三年や五年の保障期間を過ぎたらすぐにリサイクルショップに引き取ってもらうか、誰かにあげてしまうのが、「ババ抜き」に勝つ秘訣です。
省資源、循環型社会を考える大きなテーマに三R、つまりリデュース(減量、少量使用)リユース(再利用する)リサイクル(再生利用する)があり、この順に有効性が高いと言われています。
しかし「ババ抜き」で勝つためには、むしろこの逆の発想が要求され、最終的にはこっそりと鮎喰川の河川敷や眉山の山道脇に捨てられる現実につながります。
賢い消費者が「ババのカード」を最後まで抱えて、ゲームに負けなければならない現実を、変えていただきたいものです。
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