徳島新聞「ぞめき」原稿 杉浦良
No.30 タイトル「計量伝票考」
二〇〇五年二月二十一日発行の計量伝票に、ダンボール九百八十キロ(トラック二台分)、新聞紙四百四十キロ、雑誌千百六十キロ、総計二千五百八十キロ、金額四百四十円とありました。資源ごみとして市民の方々より回収させていただき、分別し、トラックに載せて古紙業者の方へ納めた時のものです。
一九八五年の計量伝票ではダンボール四百四十キロ新聞紙八七〇キロ雑誌千二百七十キロ、総計二千五百八十キロ、金額三万九千二百三十円でした。
一九九七年六月に徳島県内の古紙業者でつくる再資源協同組合が古紙回収についての逆有償制度を打ち出したとあります。
二十年前には約二、六トンで四万円だった古紙が、十二年後にはゼロどころかマイナスになり、現在五百円玉一個に手が届きません。
今は昔、軽トラックのスピーカーから「皆様おなじみのちり紙交換車でございます。ご家庭でご不要になりました古新聞、古雑誌、段ボールがございましたらお気軽に申しつけください。現金又は高級トイレットペーパーと交換させていただきます。お呼びいただければこちらから取りにお伺いします」と連呼していた業者の方々は、いつの間にか姿を消しました。
そして市のごみ収集車が市民の手で分別された資源ごみを回収する時代になりました。
「日本全国津々浦々、いつでもどこでも郵便局。国の保障でつぶれません。」とうたった時代から「官から民へ!三十八万もの国家公務員が必要なのか!」と郵政改革が唱えられる今日です。時代は変わり、先進国一番といわれる、借金大国日本のかじ取りが注目されます。
資源ごみ回収の歴史をたどれば、『民』から『官』への移行と思われがちです。しかし目を凝らしてみれば、その間に「市民」をどう組み込むかが一番の勝負どころとなります。「官」任せでうまくいかないことは、主要先進国を見渡せば明白です。
ただ『民』に任せることでのディメリットをどうするか?「費用対効果」とともに「NPO」「コミュニティービジネス」といった言葉が解決へのキーワードになります。
「お任せ民主主義からの逃走」明日の選挙のキャッチコピーにピッタリです。
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