投稿日:2018年01月22日

事務局通信101 〜地域の中で暮らす

事務局通信101「地域の中で暮らす」

地域活動支援センター太陽と緑の会リサイクル作業所には様々なお客様が、ご家庭でご不要となった品物を持って来られたり、リユース品を買い求めに来られたりします。
小さなお子様を連れて、日用品、絵本、おもちゃを買いに来られる方、古着や昭和レトロの品物がお好きな方、和食器や洋食器を集めておられる方、徳島に越してきて家電製品や家具を買い揃えに来られる方、通学用・通勤用の自転車を探しに来られる方、いろいろな方がお越しになります。
ご自宅で介護をされている方が、1枚10円のタオルと大人用紙おむつをまとめ買いされていました。
「いくらあっても足りないから、助かるんよ」
ブラジル、ベトナム、インドネシアといった諸外国から日本に来られた方もお見えになります。
「友達からここのことを教えてもらいました。」
「日本は物価が高いから、ここに買いに来ています」

太陽と緑の会リサイクル作業所では、様々なハンディを持ったメンバーが接客の場面にも積極的に関わっていきます。売場のご案内をしたり、お会計をしたり、買われる品物をお運びしたり、食器を新聞紙で包んだり、自転車の防犯登録をしたり、お客様からのお電話にも出たり、とできることは引き受けていきます。うまくできずにお叱りを受けることも少なくありません。英語が通じない方とも、指差し表を使いながら簡単なコミュニケーションをとっていきます。
中には転売目的で買いに来られる方もいます。なるべくリユースにつながるようにと価格設定を安めにしていることが仇になっている面もなきにしもあらずと言ったところでしょうか。インターネット(ヤフオク、メルカリなど)や日曜市など、個人が少ない初期投資で容易に物を売れる時代になったことも背景にあります。毎日のように来ている方もいれば、仕事の合間に小遣い稼ぎでやっている方もいます。メンバーと顔なじみになって情報を聞き出そうとしたりと、百戦錬磨のアプローチにメンバーも日々鍛えらます。

メンバーのAさんが昨夏よりアパートでの一人暮らしを始めました。不動産会社を訪ねて物件を探すことに始まり、賃貸契約の締結後は、電気、ガス、水道の使用開始の手続き冷蔵庫、電子レンジ、トースター、こたつといった家電や寝具を太陽と緑の会リサイクル作業所のリユース品で揃え、スーパーやコンビニでの買い物、毎日の食事のやり繰り、水光熱費の支払い、コインランドリーでの洗濯、部屋の掃除、ゴミ出し、家計の管理など、時には作業所のスタッフと相談したりサポートも受けたりしながら、ひとつひとつクリアしていく中で、少しずつ「生活者」としての表情が伺えるようになってきました。通所を始めて18年。これまで作業所で培ってきたものが結実して今があります。

福祉分野では、よく「地域」「地域」と言われますが、地域社会で生きることは決してバラ色ではありません。繁華街を歩いていて「金を持ってこい」と脅されたメンバーもいます。車の中に連れ込まれそうになったり、ストーカーまがいの被害や交通事故に遭ったり、地域生活の現実は厳しいです。メンバーさんの中にも、病院や入所施設のような「保護された空間」で人生を送る方がよほど楽じゃないか、と思う瞬間があるかもしれません。
それでもやっぱり地域の中で暮らす方がいい。1人1人の生きていく姿を傍らで見させて頂いていく中で、改めてそう思います。(文責・小山)

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