8月24日(木)〜8月29日(火)、「リサイクル・有機農業・エコライフ 体験ボランティア2000」を行いました。北は青森から西は長崎まで、19才から28才まで10名の青年達(以下ワーカー)がここ徳島に集まり、当会の様々なハンディを持ったメンバーと、国府作業所でのリサイクル活動、月の宮作業所での農作業、月の宮共同生活棟での生態系にやさしい生活を体験しました。
 NPO団体の活動に興味のある人、環境問題・リサイクルや有機農業に関心のある人、障害者福祉に興味のある人だけでなく、ばくぜんと今の自分を見つめ直したいと考えている人や出会いを求めている人など、様々な方が参加しました。
 
1 ワークキャンプから
  体験ボランティアへ
 当会は、平成2年から平成11年まで社団法人日本青年奉仕協会(JYVA)との共催で毎年夏に10日間のワークキャンプ事業を開催してきました(10年間でのべ200人の方が参加)。ところが同協会でワークキャンプ事業一時打ち切りの方向が出されたため、当会でこの事業を継続するか否かを検討しました。
 これまでの共同開催という形態の場合、パンフ作成、広報(パンフ・ポスターの大学・ボランティア団体などへの発送・掲示依頼、新聞社・タウン誌・ボランティア情報誌・ウェブサイトなどへの掲載依頼など)、資料請求・参加申込みの受付、問合せ・キャンセルへの対応、ボランティア保険への加入といった事務処理に加え、事業開催中にもスタッフを派遣し、参加者と当会との間に立ってコーディネートを行う、といった部分をJYVAが担ってきました。
 ワークキャンプを継続するならば単独開催になり、JYVAが行ってきたこれらの部分も当会が引き受けることになるため、当会のスタッフ体制でそれが可能か否かを検討しました。
 昨年の場合、食費、水光熱費、資材費等で30万円以上もの費用がワークキャンプにかかっており、月の宮生活棟での受け入れ体制確立も含め、準備に要する時間・エネルギーも膨大です。
 公的助成金は全運営費の1割強にすぎず、リサイクル品による収入で活動を支え、スタッフの給料を世間相場の半分以下に抑えることで何とか土地代や水光熱費、車や建物の維持費の支払が可能となる厳しい現実を考えれば、ワークキャンプを打ち切って、日常活動に力を入れた方がいいのでは、という見方もありました。
 最終的に@当会の様々なハンディをもつメンバーにとって、全国から集まった青年達と共働作業・共同生活に取り組むことは大きな刺激であり、そこからメンバーの将来的な可能性が見えてくるなど、いろいろな意味があること、A徳島だけでなく日本全国とどこかでつながっていくことで当会の活動を客観視できること、などの理由から、ワークキャンプ事業は継続するだけの意味と価値があるとし、継続を決定しました。

2 主な変更点
 ワークキャンプ事業を始めた頃は、月の宮作業所といっても山奥に旧豚舎が一つあるだけで、参加者の寝るスペースすら確保が難しく、テントを張って寝てもらったりしていました。そのような状況でのワークキャンプは、一輪車2000杯に及ぶ土入れ、同1000杯のコンクリート流し込み、といった人海戦術による作業がほとんどでした。
 その後、地元ボランティア、ワーカー、当会のメンバー、スタッフの協力によって少しずつ形が整っていく中でこのような作業の必要性は減り、むしろ当会の活動をワーカーに体験して頂く、といった側面が強くなってきました。
 このような状況を踏まえ、事業の名称も「ワークキャンプ」から「体験ボランティア」に変更しました。定員も20名から10名へと減らし、その代わり7月下旬、8月下旬と2回実施することを計画しました。日程については社会人の方も参加しやすいように、と従来の9泊10日を5泊6日に短縮しました。

3 A日程の中止
 7月20日(木)〜7月25日(火)に実施の予定だったA日程の方は参加希望者がゼロだったため中止としました。社会人に配慮し祭日も含めた日程を組んだのですが、大学生の試験期間に若干かかったこと、なども影響したようです。来年以降の検討課題とします。
 
4 ボランティアワーク 
 国府作業所では、当会の通常活動の中にワーカーの人も加わり、リサイクル活動の最前線を体験して頂きました。リサイクルの厳しい現実を知ったり、メンバーとの共働作業や会話を通じて何かを感じたり、それぞれ「収穫」があったようです。
 月の宮作業所では、草刈り、スイカ・カボチャ・トウガンなどの刈り取り、堆肥入れ、石灰散布、わら干しなどの農作業や鶏小屋補修などの整備作業を行いました。無農薬有機栽培の良さと大変さの両方を感じて頂けたのではないかと思います。
 ニワトリ3羽の屠殺も行いましたが、全員が初体験でインパクトがあったようです。
 また今回体験ボランティアの宿泊施設にもなっている月の宮共同生活棟では自然循環システム(本誌P7以下参照)を導入しており、生態系に対する負荷の少ない生活を実際に体験して頂きました。畑で収穫した野菜を食べ、ニワトリや卵を食べ、排泄したふん尿は畑に返し、生ゴミは畑やニワトリに返していくことで循環が成り立つ、という生活の中で、いろいろなものを見て頂けたと思います。
 最後の夜には今年で4回目を数え恒例となった「スリーステージ」の皆さんによる生バンド演奏で大いに盛り上がり、メンバーもワーカーも一緒になって、歌い、踊り明かしました。

5 まとめ
 今回は第1回目ということもあって試行錯誤の連続でしたが、特に大きな事故、ケガもなく終えることが出来ました。当会の作業所のメンバーも、ワーカーからの刺激を受け、一人一人が日常活動での姿からは考えられないほどの表情、動き、言葉などを見せ、聞かせてくれました。メンバーの今後を考える上でも、大変有意義な事業だったと思います。
 体験ボランティア事業の開催に当たり多くの方々から多大なご支援、ご協力を頂きました。とりわけJYVAの皆様方には広報面などで惜しみないご協力を頂いた他、様々なアドバイスを頂戴し、本当に有難うございました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。 





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