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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.32 タイトル「きのこまつり」

 十月九日、徳島市国府町早渕で第四回「きのこまつり」が開催されました。障害者地域共同作業所「きのこハウス」が主催し、たこ焼き、うどん、焼そば、パットライス、コーヒー、シイタケ、にんじんケーキ、パウンドケーキ、野菜、もろみ、花などを即売するイベントです。菌床シイタケのブロックやカブトムシの幼虫まで並ぶバリエーションには少々珍しさを感じますが、どこにでも見られる普通のバザーです。
 障害者地域共同作業所とは、様々なハンディー(知的、身体的、精神的)を持ったメンバーたちが、学校卒業後や病院退院後に、様々な作業や生活トレーニングを行う日中活動の場です。無認可作業所、法定外作業所などと呼ばれているところで、認可、法定と呼ばれる社会福祉法人施設や公的施設とは違い、各都道府県により運営費としての補助金に大きな違いがあります。最高千九百万円弱から最低二百万円、平均約七五〇万円というデータ(二〇〇三年度十五人利用)があります。
 ちなみに徳島県は四七〇万円で、残念ながら四国では最低となりましたが、認可、法定施設ではこのような差はありません。一人当たり月額二十二万三千円(社会福祉法人認可施設、二十人利用)と一人当たり月額十万五千円から一万一千円(無認可施設)の幅を持つ公的支援で、十五万人ものハンディーを持ったメンバー達が日中活動を行っています。認可施設は六万人(約二千三百五十ヶ所)を、無認可施設が九万人を(約六千ヶ所)受け持つ先進国は、当然ながら日本以外ありません。
 その六千ヶ所の中の八ヶ所が共同出店をし、地域の方々やボランティアの方々の協力で、このイベントが成り立つことに、そのユニークさがあります。
 吹けば飛ぶような無認可作業所が、自分たちだけの力では集客力を高められないその限界を、それぞれが感じるが故のこの「きのこまつり」は、懐かしい日本を思い起こさせる雰囲気があります。敗戦後の日本を支えた中小企業群が重なりました。


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