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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.40 タイトル「省エネ考」

 「お金の使い方を少し考えると、それが省エネ。地球にやさしい省エネは、家計にもやさしい。」と新聞紙面一面に書かれた経済産業省と資源エネルギー庁の広告に目がとまりました。少々高い省エネの電化製品を長く使えば、電気代も安くなり、総合的なコストはむしろ安くなる場合があり、直面する地球温暖化に少々でも歯止めがかかるというわけ。
 ただそうは言っても、今使っている冷蔵庫やエアコンを捨てて、省エネタイプに買い換えるとなると、なかなか単純にこの図式は当てはまりません。処分するにも家電リサイクル法に基づいてリサイクル料金と収集運搬料がかかりますし、せっかく使えるものを効率が悪いと言うだけで捨てるのも、心苦しいものがあります。少なくともリサイクルするより再使用(リユース)することのほうが環境にやさしいと環境省も言っていますし、製造し廃棄する総エネルギー量を考えると、判断は非常に難しくなります。
 わが家で使っている二台の冷蔵庫を調べてみると、一九九五年製の二七五リットルと一九八二年製の一七〇リットルで、それぞれの使用電気量は月に三十三キロワット、三十一キロワットと書かれていました。単純に十二倍すると年間七百六十八キロワットにもなり、総容量は四百四十五リットルとなります。新聞の折り込み広告には、容量がほぼ同じで電気量が約五分の一という物まであります。
 「これは一つ真剣に考えないと・・」とブツブツひとり言を言いつつ、電気屋さんの冷蔵庫コーナーをうろつく私。
「省エネ基準達成率の高いのは、値段も随分高い。この差の根拠は一体何なのか?」などと考えているうちに、ふと目にとまったのが、一番下の冷凍庫にほんの少しへこみのある、現品限りの特価品です。
 二〇〇五年製の四百十三リットルで年間一七〇キロワット。少々容量は少ないものの、電気使用量は約五分の一です。値段も手ごろ、小さなへこみなどすぐにつく家庭環境では、むしろ好条件と判断して、すぐさま購入しました。
 比較的新しい一台は別のところで活躍し、さすがの一九八二製はリサイクル工場行きになりました。子供たちからは「どうしたの?」とけげんな顔をされつつも、このことに至る道のりをくどくど説明する私です。


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