不用品の回収、集まった衣類や家具、電化製品などの選別、修理、値段付け、整理。鉄、缶、ビン、段ボール、新聞、ウエス(布切れ)の再資源化事業所への搬入。売り物にならない品物は解体して部品を取り、再生できないものは一般廃棄物中間処理場や焼却場へ運び込む。「太陽と緑の会リサイクル」国府作業所の業務には、さまざまな行程があり、人間と時間がかかる。
◆未整理品で満杯
ワーカーの若者たちはで、それぞれの作業を体験する。リサイクルに興味があってキャンプに参加した太田歩(22)=兵庫県尼崎市、ケーキ店勤務=は、これまで廃棄物処理場や再生事業所を訪れたことがなかった。
「うず高く積まれたゴミの山。何気なく捨ててるけど、集めればこんなになるんだって・・・。鮎喰川沿いをトラックで走ると、山際に捨てられたゴミが目について、どうしようもなく悲しくなった」
不用品を無償で引き取り、可能な限り商品として再生する―。昨年十月、徳島市の粗大ゴミ収集方式が申込制に変更されたこともあり、同会の取扱量は前年までの約二倍に急増した。作業所は未整理の品物であふれ、パンク寸前。このため「リサイクルできるものなら何でも回収する」という基本原則を修正し、「売れる見込みがなく場所を取るだけ」の品物は断るようになった。
作業所への行政からの補助は年間運営費の一割に当たる五百万円余り。作業所を成り立たせるためには商品の回転率を上げなければならない。だが、無料回収で売れ筋の品物が集まるわけではなく、簡単にはいかない。
国府作業所長の三木善史(43)=徳島市金沢町ニ=が、障害のあるメンバーやワーカーたちと回収してきた食器類を一つ一つ選別し、値を付けている。値段シールはどれも十円単位だ。「二十円にするか三十円にするかで悩む。利益を出せるか出せないか、この十円にかかっている。もうかるやろ、と言われるお客さんも多いが、手間や人件費を考えれば初めから商売にはならない。メンバーとスタッフの給料を削ってなんとかしのいでいる」。
◆処理場の"感覚"
回収してきた家具の中から、壊れたおもちゃや使いかけの化粧品、期限切れの栄養ドリンクが出てきた。「うちは処理場と違うのになあ」とメンバーの一人。スタッフの加藤祥子(28)=板野郡藍住町東中富、精神保健福祉士=が、値段シールが張られている薄汚れた小物を見つけた。「これ、フリーマーケットの売り残りじゃない」。
段ボールの回収で、徳島市内を回ったワーカーの北村慎一(20)。帰るなり「何で引き取る側のことを考えてくれへんのやろ。ちょっと整理してくれれば、作業がはかどるのに」と怒ったが、「そういや、自分も人のこと言えないや」。
「このおもちゃほしい」と買い物に来ていた子供がねだった。母親は三個で十円の小さな人形をじっくり眺めて「塩化ビニールじゃない、だめよ」と言った。塩ビに含まれる可塑剤に、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)作用があるとする議論を心配してのことだろうか。
リサイクルの現場では、いろいろなものが見えてくる。
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