徳島新聞「ぞめき」原稿 杉浦良
No.7 タイトル 「地産地消」
「徳島県の下水道普及率、全国最下位」と新聞報道されました。一番が東京都の九七、六%、四七番目が本県の十、六%で、全国平均の六五、二%をはるかに下回っています。
こんなデータを見ると、妙に住んでいる私自身も気恥ずかしくなります。それは私の気の小ささからなのか。いや待てよ、少し前の日本では当たり前に、畑にウンチやオシッコをためるカメがあって、しばらくねかせ、水で薄めて畑にまき、立派な野菜を作った歴史があるではないかと、思い直しました。
今では下水道に糞尿や生活廃水が流し込まれ、最終処理場で処理された後、海に流されるのが当たり前となりました。残った固形物を焼却したり、肥料にしたり、汚泥からメタンガスを発生させた後、残りを建設材料として使うなど、環境に配慮した新しい方法も考え出されています。ただ建設コストが巨額で、赤字財政下、費用対効果を考えると人口密度の少ない町では、合併処理浄化槽や農業集落排水処理などがむしろ適していると言われています。しかしそれも含めた生活廃水統合普及率も二九、四%と、最下位の壁が越えられません。
そこで逆転の発想として考案実施したのが、コップ一杯の水で糞尿を流す簡易水洗トイレのタンクに、ポンプで空気を送り、好気性バクテリアで分解させるエコトイレです。タンクが満タンになったら、汚水ポンプで汲み上げて畑の肥料にします。穴を掘って粘土、炭、砂、石を順番に敷き詰めた池に、生活廃水を流し込み、地中に浸透させます。念の為に間伐材で落下防止用の柵を作ります。合成洗剤やトイレ用洗剤を使うとバクテリアが死滅してうまくいかないので、液体、固形、粉状の純石けんが必需品になります。しばらくして水が溜まると、いつの間にかカエルやヤゴが住みつきます。ホテイアオイを浮かべ周りに木を植えると、ちょっとした庭園に・・。スローライフを先取りし、維持管理費はブロアポンプと汚水ポンプの電気代のみという超省エネ構造です。
「みんなのウンチやオシッコで、こんなに野菜が生き生きしている」とつぶやきながら「オンリーワン徳島の地産地消とは何ぞや」と、子供に教える楽しみも増えるというものです。(杉)
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