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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.41 「PSEマーク」 二〇〇六年三月十日分

 PSEマークという言葉が、最近マスコミなどで取り上げられる機会が増えました。「Product Safety, Electrical Appliance and Materials」の略とされています。下手に訳せば、安全な電気製品及び設備となり、電気用品安全法が改正された二〇〇一年以降に製造された電化製品におおむね付いています。
 電化製品の裏とか横とかをよく見ると、丸やひし形にアルファベットでPSEと記されています。このマークがないものは製造輸入販売が出来ません。この四月で、今までの三角マークや丸マークやSマークがついた電化製品(旧電気用品取締法適合製品)の製造販売の猶予期間が切れるため(一部は二年及び五年後)、いろいろ問題が出てきました。
 一番の波紋は、PSEマークのない中古電化製品の販売が禁止されることです。3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進と矛盾するし、アンティークな電化製品や電気楽器まで扱えなくなるとすれば、音楽文化活動にまで影響がでます。アーティストの坂本龍一さんが、芸術文化の発展を阻害する恐れがあるとして反対署名活動をされていると聞きましたが、それも一理ある話です。 
 「今までの三角や丸やSマークで何んでいかんの?」という単純な問いに「多分いろんな事情で作られたバラバラのマークが増えすぎたためと違う?2000年ごろから海外生産の電化製品も大幅に増えて、安全基準もまちまちで、ULとかCEとかいうマークまであると、一体何のことや、と混乱するし・・」といい加減に答える私です。
 でも、アンティークマニアや音楽愛好家にとっては大きな影響があるこの問題を、電気用品製造(輸入)事業届け出をし、自主点検をクリアして新たにPSEマークを付けることで販売可能にしたり、レンタル商品の貸し出し作戦に切り替えたりして、乗り越えていかれる業者もおられます。
 安全第一は最優先されるべきことですが、これほど波紋が広がるとは経済産業省の関係者も予想されなかったのでは、と勝手に思っております。真空管式アンプの黄金色の輝きを眺め、古き良き時代の思いをめぐらせ、音楽に酔いしれる方々の存在の厚みを感じさせられた一瞬です。(杉)


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