徳島新聞「ぞめき」原稿 杉浦良
No.75 タイトル「省エネ考」第三弾
猛暑が荒れ狂った日本列島に、地球温暖化によるしっぺ返しを連想された方も多いと思います。
六月十四日のとくしま環境県民会議総会で、NPO法人環境エネルギー政策研究所所長、飯田哲也さんの講演がありました。「今、地球にやさしいエネルギーを考える」と題して、日本や世界で行われている太陽光、風力、バイオマスなど、環境負荷が少ない自然エネルギーについての最新状況の話がありました。驚いたのは日本が世界に誇る太陽光発電が、メーカーとしては健闘しているものの、設置量ではドイツにあっという間に追い越され、気がつけば倍もリードされるという事態になっていることや、かつて日本で自然エネルギーの代表選手であった太陽熱温水器市場は、一九九〇年代初めから減少し忘れられた自然エネルギーとなっている点でした。
ドイツでは一九九〇年に自然エネルギー電力からの固定価格制を導入して風力発電の普及に成功し、二〇〇〇年に導入された新法では風力以外の自然エネルギーの普及にも考慮した制度改革を行ったため、太陽光発電設備の急激な増加につながりました。太陽熱温水器については、建物にマッチさせた外観と経済性の良さを売りにヨーロッパで大いに普及しているそうです。
それに比べ日本の自然エネルギー政策は随分お粗末で「太陽光発電世界一からの転落は政策失敗の象徴」と飯田さんは指摘しています。「環境立国」を前面に打ち出すことで世界における日本の位置づけを確立し、国内景気を回復させるというアピールは腰砕けに終わったのでしょうか?トヨタがこれだけ世界市場で活躍できたのは、それまで見向きもされなかったハイブリッドカーの開発に早い段階で着手したからではなかったのでしょうか?
ブツブツ一人で愚痴を言いつつ、そうだ、太陽熱温水器の取り付けだと、インターネットで情報を集め、C社の太陽熱温水器を屋根に取り付けてもらいました。それまで使っていた石油給湯器に接続することで、灯油の消費量は激減しました。
うだるような暑さのおかげで、一滴の灯油も燃やさずに、家族五人が毎日シャワーを浴びることができます。本当にありがたいことです。(杉)
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