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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.91 タイトル「母の日に贈る詩」

 十一日は母の日でした。
 その日が近くなると、スーパーマーケットなど量販店は母の日特集真っ盛りで、山盛りのカーネーションから母の日ケーキまで、プレゼントグッズであふれかえっていました。
 カーネーション一本をお小遣いで買い、肩たたき券を自分で作ってお母さんに渡す、といったのが普通と思っていたので(それがもう時代に取り残されている証拠でしょうが・・)私は浦島太郎になった気分でした。ただこれだけ盛大に母の日を祝ってもらえれば、家事に育児に仕事にと、よく働くことで名前が売れた、阿波のお母さんたちも悪い気分ではないでしょう。
 自分の子供が何らかのハンディを持つことになったお母さんの苦労話を、今まで随分聞かせていただく機会がありました。わが子がハンディを持つことでさまざまな問題が起こります。元気で五体満足であれば・・といった願いをいったん脇に置きながら、起こるであろうさまざまな課題にさらされます。
 「自分が生んだこの子を、何とかしなくては」。そんな思いにかられたお母さんのたくましさに、いつも頭が下がります。その中に、自分のおなかを痛めていないお母さんも幾人かおられました。「本当のお母ちゃんは?と言われても、そんなん父ちゃんに聞いてもらわんと、仕方ないなあ・・」。そう言いながらも、何とか精いっぱい関係を作ろうと悪戦苦闘される姿がうかがえました。いろんなことがありすぎて、子供もお母さんも疲れ果て、もう関係を続けられなくなるのでは?と思う瞬間を幾度と乗り越えて、細い糸をお互いが手繰ろうとします。
 そんな風に手繰った細い糸の先に、次のような詩が生まれました。
     母親へ
 母親に対して産んでくれた感謝と
 育てたくれた感謝
 二人の母に贈る詩です。
 変わらないそして揺るぎ無い
 絶対的な、変えてはいけない自然な関係。

 ある青年が、搾り出すように十七編の詩を載せた、手作りの詩集を母に贈りました。(杉)


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