投稿日:2025年01月31日

事務局通信~楽しい日本

朝晩の冷え込みが厳しい日が続いています。
インフルエンザで長い間お休みしていたメンバーのYさんとTさんも復帰し、新館の作業場もいつもの形に戻ってきました。
お客様もさほど多くありません。こんなときは売場の整理をするに限ります。リユース品の入れ替えを行って、すし詰めで見辛かった品物が少し見やすくなりました。
お子さんの体調不良のため、午後にちょっとだけの勤務が続いていたパート職員Kも久しぶりに朝から出勤。今日はリユース品の値段付けと陳列もサクサクと進みそうです。

 石破総理が先の施政方針演説にて、「「楽しい日本」を目指していきたい」とお話しされていました。
 「「楽しい日本」とは、すべての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、「今日より明日はよくなる」と実感できる。多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていける。そうした活力ある国家です。」とのことですが、高度成長時代が終わり急速に少子高齢化が進む中で、すべての人が「今日より明日はよくなる」と実感できるような時代が来るのでしょうか。

 衆議院予算委員会では「わくわくした楽しさを地方に広げていく」とも言われていましたが、普通にフルタイムで働いても住む家すらなかなか買えず、水光熱費やガソリン代、生活必需品の価格が高騰する中で家計のやりくりに苦労する。そのような生活を送っていても、「戦前の大日本帝國の時代や戦後の食糧難の時代に比べればずっと恵まれているじゃないか、政府のおかげでそういう暮らしができているんだから感謝しろ、贅沢を言うな、当たり前と思うな、楽しいと思え」ということなのでしょうか。

 富裕層を優遇し、相対的に中間層を冷遇する政策を続けた結果、中間層が没落し、今日のようになりました。
 投票率が低迷する中、富裕層の皆様が直接的・間接的に実権を握っている政権で、富裕層に偏在する富を再配分して中間層を再建する、などという政策が行われるはずもなく、消費税や社会保険料のさらなる引き上げなどが想定される中で、庶民には「楽しい日本」と思いこむように仕向け、「(富裕層だけが)楽しい日本」を目指していくことになりそうです。
 資本主義社会なのだからそれが当然の帰結であり、何を今さらと言われそうですが。

 トランプ大統領のマネをして「強い日本」にすべきとの意見も党内では出ているようですが、これも「(富裕層だけが)強い日本」となるでしょう。そもそも食料も石油も海外に頼り切っている日本がアメリカのマネをしても、笑い話にしかなりません。
 「楽しい」とか「強い」とか言う前に、普通に働けば普通の生活を送ることができる「豊かな日本」を取り戻すことが先決かと思いますが、偏った富の再配分を行わない限り難しいです。

 いずれ国民負担のさらなる増加か社会保障制度の破綻か、の二者択一を迫られるでしょう。富裕層の方が悠々自適の暮らしを保障される一方で、それ以外の方は、過酷で厳しい時代が待ち受けている、と覚悟して生きていく必要があります。
 自分の暮らしは自分で守るしかありません。しかし、貧富の差が広がり、かつ固定化していく中で、スタートラインから出遅れてしまった人は、身を守る術を手に入れることもできず、諦めて絶望するしかない、悲惨な時代が待っているように思えてなりません。

追記
「年収の壁の引き上げ」が議論されており、「財源とセットで」と論点のすり替えを狙う動きもあるようです。そもそもこの話は、失われた30年を通じて中間層が失ってしまった可処分所得を取り戻すことを狙いとしていたはずですが、そもそも中間層の没落した現状について、大した問題ではない、あるいはやむをえない、と認識しているのでしょう。
<<進む戻る>>