今、福祉を問う (26) 近藤文雄

リサイクルの活動

 ことのついでに、福祉リサイクルのその他の活動についても述べることにしよう。
 まず第一に、市民の方々との交流であるが、これまでに多くの品々を無償で提供して下さった方々の数は凡そ三千人。これだけの方が電話でお知らせ下さったり、わざわざ品物をお届け下さったのである。品物を買って下さる方は、毎月一回のバザーには三十人から百人、国府店には最近、毎日平均三十人ぐらい。述べ人員にすると三年間で十五万人くらいになる。リサイクルはそれだけの市民の方々の仲を取り持って友情を培ったのである。中には、毎週のように来て下さる方もあり、リサイクルの職員とも仲よしになって仕事を手伝ったり、お宅に招待して下さったりした。リサイクルは、人間誰でも持っているその美しい心の芽を育てるお手伝いができると思っている。
 次に品物の回収の方であるが、現在は小型トラック三台を回収に当てている。一日平均一トンを集めたとすると一年で約三百トン。リサイクルがなければ、徳島市はこれだけの廃棄物を処理しなければならぬ。そのためトン当たり一万円の費用がかかるとすると年間三百万円、実際にはもっとかかるからリサイクルは市の清掃業務にかなりの貢献をしていることになろう。
 今、働いている障害者の中、五人が施設に入ったとすると一人月十七万円くらいの措置費がかかるから、月に八十万円、年に千五百万円は必要となるであろう。前にも述べたように、リサイクルで働いている障害者には家庭環境にも恵まれない人が多いので、彼らの住む家を確保することが今後必須の要件となる。この点、県、市当局の御高配をお願いしたい。
 リサイクルが始まってからおおぎ学園の園生二人が毎日園外実習として参加しているが仲々好評で、順番がくるのを待ちかねているくらいである。リサイクルでは障害者には、その働きのいかんにかかわらず一日五百円を支給することにしているが、おおぎ学園の子には昼食を支給するので差し引き零という形をとってきた。自宅から通えない子は丸抱えの上、月一・五万〜三万円を支給している。それらの人々や専従者その他の給与の上に、トラックの維持費、食費、厚生経費、高熱・水道料などの経費は月九十万円位に達するが、収入もほぼその線に上ってきたので、収支トントンの線を何とか保っている。
 それだけではリサイクルの全経費を賄うことはできない。そこで大口の経費は公私の援助に頼ってきた。東大工町の店スターダストは故福本健次氏のご好意で無償で貸して頂いた。現在の国府店は、徳島市の仮庁舎を三木市長にお願いして無償で払下げて頂き、解体、運搬まで市のご好意に甘えた。移築の費用六百万円は、徳島県建設業協会赤松徳島支部長はじめ会員皆様のご英断によってご寄贈を頂いたものである。土地は公有地の使用がどうしても許可にならず困り果てていた所を、笠井仏壇社長、笠井穆氏のご好意で現地に建てさせて頂くことができた。これは正に奇跡の三段跳びといってよく、それによってリサイクルの基礎は誕生したのであった。トラックの購入、施設の拡充の費用は、徳島新聞、朝日新聞、富士財団その他多くの公私のご援助を頂いた実現した。この機会にこれらの方々に厚く御礼申し上げるとともに、今後この市民協力の輪を一層広げていきたいと願っている。
 (近藤整形外科病院長、徳島市富田浜二丁目)

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