徳島新聞「ぞめき」原稿 杉浦良
No.34 タイトル「セカンドハンド」
先日、高松市に本部があるNPO法人セカンドハンドを見学させていただきました。セカンドハンドは、市民の方々から無償提供いただいた品物を、お店やバザーで販売し、その収益金を資金に、小学校建設、農村部の女性を対象とした職業訓練、医療施設や孤児院への支援など、さまざまな活動をカンボジアで行っている団体です。
一九九四年から活動を始めて、現在四店舗と四支部を構えておられます。「イギリスで、チャリティーショップの存在を知ったことがこの活動の原点です」と語る代表の新田恭子さんは、しゃれたベージュのスカーフをまとう、キリッとした女性でした。
環境保護、老人福祉、動物愛護、国際協力などそれぞれ目的を持つ団体が、当時二千ヵ所を超すチャリティーショップを運営し、その活動資金を捻出するわけです。あるショップで店番をするおばあちゃんが「この年で、何かのお役に立てることがうれしいのヨ!」とおつりを渡しながら若き新田さんにささやかれたことが、今日の彼女につながります。
資金も何もないゼロからのスタートで、並々ならぬ苦労をされたでしょうが、どうにかなるさの楽天性と、壁にぶつかればファイトがわく負けん気の強さが、日本では珍しかったこの活動を、発展させた要因と拝見しました。
「ユネスコのワークキャンプでカンボジアに滞在し、厳しい現実を突きつけられました。たまたま日本に生まれ、豊かな恵まれた環境で育った私と、カンボジアに生まれ、七人兄弟のうち二人しか生き残れなかった青年は、一体どこが違うのでしょうか?」
物があふれかえった豊かな日本と、約三人に一人が虐殺され、破壊し尽くされた歴史を抱えるカンボジアのコントラストに、新田さんの内なる正義感が動かされたのでしょうか。まとったスカーフは日本人向けにコーディネートし、カンボジア女性の仕事を生み出す商品とのこと。
これだけの規模ながら、二名の有給事務局スタッフ以外、新田さんを含めてすべて、無給、手弁当のボランティアで成り立たせていることに、その斬新さと可能性、そして将来に対する困難さを感じさせられました。
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