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徳島新聞「ぞめき」原稿   杉浦良
No.106 タイトル「年の初めに思うこと」

 昨年三月、太陽光発電の工事をされる電気屋さんが、国の補助金がなくなったことで工事量が減ってきたと嘆かれていました。
 地球温暖化対策に効果が高く、化石燃料に頼らない優等生も、製造コストが高いのが難点でした。公的補助を出し普及啓発を進め、それでも元を取るのに十五年から二十年もかかる太陽光発電を、コストダウンと技術革新を行いながら、太陽光発電世界一にした環境立国日本でした。それが財政再建の名の下、二〇〇五年に補助金がなくなり、いつの間にかドイツに大きく差を広げられました。自然エネルギー電力の購入価格が高く設備助成もあり、元が確実に取れるドイツでは、百万キロワットの原子力発電所二十五基分を、自然エネルギーによる発電でまかなうまでになりました(ちなみに日本は七基分)。
 北海道洞爺湖サミット前に、福田元首相が二〇二〇年には太陽光発電量を現在の十倍に増やし、ドイツを追い抜こうと気炎を吐きましたが、政策立案スピードの遅さが目立ちます。
 去年の暮れにまた電気屋さんに尋ねたところ、この一月十三日から復活の補助金(総額九十億円、一キロワット発電設備あたり七万円の助成)で、ボツボツ仕事も出てきてありがたいことだと話されました。不況感真っ最中の今日このごろ、ホッとする話です。
 定額給付金の話が紛糾する以前から、二兆円の使い道をこの太陽光や、風力、バイオマス発電といった自然エネルギー発電の推進に使ったらと思っておりました。このことで環境立国日本をさらにアピールでき、京都議定書の目標達成を一歩リードし、解雇された派遣や請負労働の方々の雇用の場の確保や、自然エネルギー電力購入価格を上げ設備助成をすることで、確実に元が取れ、預貯金金利より魅力的となれば、積極的な投資としての価値も出てくるでしょう。
 仕事の創出と景気の回復、そして持続可能な社会の基盤整備につながるのでは・・。そんなことを考えていたら、新聞に同じ内容の社説が載り、はたまたオバマ次期大統領が、今後三年で太陽光や風力など代替エネルギー生産を倍増すると発表するなど、それなりの方々はちゃんと考えておられる、平成二十一年の年初めでした。(杉)


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